青の祓魔師中心にもてた!間違えた!萌えたことやら日々の他愛ないことをつづっていきます。
日付変わってしまった;
昨日の続きですー。
「兄さん!」
鋭い声が背中にささる。鼻を一つすすり上げて顔を上げれば、頬を腫らした雪男がいた。必死さを隠しもせず、追いかけてきた。
「ごめん…兄さんの気持ちも考えずに勝手なことして。ただ何か、ちょっと…セーラー服を着た兄さんに先生って呼ばれるの考えたら、その…理性というか…」
「俺が、か?」
「え?」
珍しく口ごもった様子で視線を下に向けていた雪男が燐の絞り出した一言で顔を上げた。そんな無理すんなよ、なんて言う本人が明かに虚勢だとわかる笑顔で言うので、雪男は言葉を繰り返した。兄は辛い時ほど笑うのも、雪男は知っていた。
「兄さん、がね。着たら可愛いと思って」
「そんな…似合わないに決まってんだろ…」
「それが可愛いんだよ」
さらりと弟が言うので、燐はそれ以上言葉はいらないと思った。もともと説明は苦手なのだ。いらない言葉を重ねて聡い弟から言葉を引き出すよりも、その穏やかな笑顔の方が余程燐の気持ちを落ち着けた。好きだな、と思う。
それこそ上手く素直に言えはしないので顔は仏頂面で通す。ただ出したままの尻尾がゆらゆらと柔らかく揺れていて、それを燐は気づかない。
いつのまにか出てきた風に流され草いきれが楽になった中で、雪男はでもね、と声を続けた。
「やっぱり兄さんが趣味じゃないことに突き合わせるのは悪いから…」
雪男が手にしていた袋に手を入れ何かを引き出す。弟が袋を持っていたことさえ今気づいた燐は半べそのまま疑問符を浮かべた。確かにコスプレ、しかも自分が着ていいようにされる趣味は全く持ち合わせてはいないが、何だろう酷く嫌な予感がする。
「セーラー服は諦めるから、婦人警官はどう?手錠も抜かりないよ」
手にしたまごう事なき婦人警官の制服を広げて子供のような笑顔で宣う弟の右頬を渾身の力で殴りつけて、燐は脱兎のごとく逃げ出した。
今度はやっぱり婦警を、なんて馬鹿らしすぎて考えもしない。
PR
この記事にコメントする